筆跡鑑定業界は、まさにぬるま湯にどっぷり浸かっていると言わざるを得ません。多くの鑑定人は、自分で筆跡鑑定法を研究したわけではなく、半世紀以上も前の「伝統的筆跡鑑定法」という陳腐化した鑑定書をベースに、マニュアル通りに鑑定書を作成しているのが実態です。つまり、「伝統的筆跡鑑定法」を各々の鑑定人が独自にアレンジしているだけであり、私は彼らを「筆跡鑑定書作成人」と呼んでいます。彼らを真の「鑑定人」とは到底思えないのです。
この「伝統的筆跡鑑定法」には、そもそも筆者識別を可能にする科学的根拠がありません。根拠のない手法をいくらアレンジしても、結果は同じことです。
他の鑑定業との決定的な違い:許される「誤鑑定」
筆跡鑑定業以外の鑑定業は、非常に厳しい世界です。例えば、ブランド買取店に未熟な鑑定人がいれば、スーパーコピーを本物と誤鑑定して大金を支払うことになり、その店は潰れてしまうでしょう。ブランドショップの鑑定人は、誤鑑定が許されないという厳しい世界で生きています。
ところが、筆跡鑑定業界の鑑定人は、どっぷりとぬるま湯に浸かっていても何の問題もありません。鑑定ができなくても、元警察OBであるとか、「鑑定実績3000件だ、4000件だ」と自慢したり、「〇〇協会の鑑定人だ」と吹聴したりしていれば、依頼は自然と集まってくるのです。
「真実が分からない」ことに付け込む鑑定人たち
なぜなら、筆跡鑑定は「真実が分からない」とされているため、鑑定人が黙っていれば、依頼人にはその鑑定が正しいのか間違っているのか、全くわかりません。鑑定人が鑑定ができないことを証明するような環境にないため、彼らの出した鑑定結果が正しかったのか間違っていたのかは、永遠に闇に葬られたままとなります。
この業界では、鑑定技術を磨くことよりも、検索順位を上げることが最も重要視されています。SEO対策に尽力していれば、鑑定能力がなくても依頼が入り続けるのです。例えば、「鳥取の筆跡鑑定」「岩手の筆跡鑑定」「宮崎の筆跡鑑定」と検索しても、同じ鑑定所が上位に表示されるといった具合です。
似せて書けば似るのは当然なのに、「類似している」と馬鹿げたことを言っていても、依頼が多ければ裁判所から選任されることすらあります。さらに、鑑定を間違えても身銭を切るどころか、鑑定料は必ず手に入ります。つまり、SEOを駆使し、検索順位が上がればたらふく飯が食えるという構図なのです。
淘汰されない「裸の王様」たち
どれほど馬鹿げた鑑定法であっても関係ありません。以前のブログでも述べた公開試験でもしない限り、彼らが淘汰されることはないでしょう。今の筆跡鑑定業界は、まさに「この世の天国」としか言いようがありません。


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