遺言書や契約書の真偽をめぐる裁判で、鑑定結果が「真筆」と「偽筆」で真っ二つに割れることがあります。なぜこんなことが起こるのでしょうか? その答えは、従来の鑑定法が、本来科学的証拠として最も避けなければならない「偽造者の腕前」という外部要因に、決定的に依存しているからです
本記事では、従来の鑑定法の構造的欠陥を指摘し、その課題がBSHAMの「科学的発展の余地」とは次元が異なることを論理的に解説します。
1. 従来の鑑定法が持つ「致命的な依存症」
従来の鑑定法は、「偽造者は真筆に似せて書く」という基本原理への対抗策を持たないため、鑑定結果が真実ではなく、偽造者の模倣技術に依存してしまうという構造的な限界があります 。
弱点①:伝統的鑑定法に内在する論理的破綻
鑑定人の経験と勘に頼る伝統的鑑定法は、筆跡の形状的な類似性を判断の核とします 。
- 論理の破綻: 偽造者は似せて書くのが当然であり、表面的な類似性が高いことは、単に模倣が巧みであったことを意味するに過ぎません 。鑑定の結論が、筆跡の本質ではなく、偽造者の技量に左右されてしまうのです 。
- 司法の評価: 最高裁判決でも、この手法は「多分に鑑定人の経験と感(勘)にたよるところがあり、その証明力に自ら限界がある」と評価されています 。
弱点②:数値解析法を無力化する「統計的限界」
客観性を謳う数値解析法も、現場の現実と偽造の脅威によって論理が崩壊します 。
- 「30個の壁」による統計的根拠の喪失: 筆跡の「個人内変動幅」(筆跡の自然なブレの範囲)を正確に算出するには、統計学上、最低でも30個以上の比較サンプルが必要とされます 。しかし、実際の鑑定ではわずか数個しか資料が集まらないため、鑑定の前提となる統計的根拠が失われます 。
- 偽造者の「潜入経路」: 筆跡の変動幅は広いため、熟練した偽造者は、模倣した筆跡を本人の広い変動幅の中に容易に収めてしまう可能性が高くなります 。この外部要因によって、数値分析という科学的な枠組みは無力化されます 。
従来の鑑定法では、鑑定が「主観的な判断」に逆戻りし、公正な真実の追究が極めて困難になるのです 。
2. BSHAM:課題は「発展の余地」であり「弱点」ではない
筆跡鑑定の信頼性を回復するには、偽造者の腕前に結果が左右されるという構造的脆弱性を根絶しなければなりません。脳科学的筆跡鑑定法(BSHAM)は、鑑定の焦点を「形」から「模倣が不可能な脳の運動プログラム」**へと完全に移すことで、この問題を解決します。
従来の鑑定の「論理の破綻」とは次元が違う
BSHAMが新しい手法であり、データベースの拡充に時間がかかるのは当然です。しかし、その「新しさ」が、従来の鑑定法とBSHAMを同列に扱う理由には断じてなりません。
| 項目 | 従来の鑑定の問題点(解決不能な構造的欠陥) | BSHAMの課題(時間をかければ解決できる発展の余地) |
| 問題の核心 | 論理が破綻しているため、鑑定の信頼性がゼロになり、偽造を見抜けない 。 | 論理は完全だが、より強固な証拠力のためのデータ(希少性)拡充が未達である 。 |
| 対抗措置 | 偽造者の腕前に依存し、科学的な防御線を持てない 。 | データベースが不完全でも、積の法則で最悪の確率(50%)を仮定し、数学的な保証を確立している 。 |
🧠 BSHAMの圧倒的な優位性(異筆証明のロジック)
BSHAMは、この「発展の余地」という課題があっても、従来の鑑定法より圧倒的な優位性を誇ります。
二項分布を使用。本人なら高頻度(75%以上)で現れるはずの書き癖が、偶然ではありえない確率で崩壊していることを証明し、偽造の巧拙に鑑定結果が左右されるのを防ぎます 。
- 無意識の裏切りを検出: 偽造者が意識的に他人の形を真似ようとすると、本来安定しているはずの**無意識の運動プログラム(手続き記憶)**が乱れ、恒常性が必ず崩れます 。
- 数学的な保証: この「恒常性の崩れ」の数が、単なる偶然の変動ではありえないことを二項分布という統計ロジックで証明します 。
「完璧ではないが、論理は破綻していない科学」 は、「論理が破綻し、偽造者の腕前に結果が操られる非科学」 とは、信頼性の次元が全く異なります 。BSHAMは、従来の鑑定が半世紀以上解決できなかった構造的な脆弱性を、すでに論理と統計で克服しているのです 。
3. 結論:信頼できる鑑定は「腕前」に頼らない
あなたが鑑定を検討する際は、「この手法は偽造者の腕前に依存しないか?」、そして「数学的な保証があるか?」を必ず問いかけてください 。
真に信頼できる鑑定法は、論理と統計に基づき、真実を明らかにする力を持っています。この科学的な事実を社会に浸透させることこそが、偽造による不条理から善良な方を守るための、唯一の道であると確信しています 。


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