「筆跡鑑定なんて、結局は鑑定士の『勘』なんでしょ?」
実は、そう思われてしまうのには、ハッキリとした理由があります。先日、AIに「筆跡鑑定の方法」を聞いてみたら、こんな回答が返ってきました。
- 伝統的方法
- 計測的方法
- 科学的方法
…時代遅れにも程があります。まるで数十年前の教科書を読んでいるようです。もし今、あなたが遺言書の真偽で悩んでいるなら、この古い分類に縛られた鑑定法では、あなたの真実を証明できないかもしれません。
今回は、なぜ従来の鑑定法が信用を失ったのか、そして最先端の鑑定がどうやって「科学的保証」を手に入れたのかを、分かりやすく解説します。
1.従来の鑑定法が「偽造」に負けてしまう理由
なぜ、昔ながらの鑑定法では、裁判で「証拠能力に限界がある」と見なされてしまうのでしょうか?それは、彼らが偽造者が仕掛ける最大のワナを避けられないからです 。
❌ 伝統的鑑定法:「似ている」は模倣の証拠
ベテラン鑑定士が虫眼鏡で「形」や「癖」を比べるのがこの方法です 。
- 最大の問題: 鑑定人は「この癖は本人特有だ」と見抜こうとします。しかし、偽造者は最初から本物そっくりに「似せて書く」のが仕事です 。
- 結末: 形が似ているからといって「本人だ」と判断してしまうと、鑑定結果は筆跡の真実ではなく、「偽造者の模倣技術のレベル」に左右されてしまいます 。これでは、鑑定の結論が外部の要因で簡単にひっくり返ってしまいますよね 。
❌ 数値解析法:「統計」という看板の裏側
「数値化すれば客観的!」と一見科学的に見えるこの方法にも、致命的な欠陥があります 。
- 統計学の壁:「30個の壁」 筆跡の自然な”ゆらぎ”の範囲(個人内変動幅)を正確に分析するには、統計学的に最低でも30個以上の比較サンプル(同じ文字)が必要とされています 。
- 実務の現実: しかし、遺言書などの鑑定では、比較資料がわずか5〜10個しか集まらないのが実態です 。
- 結末: 30個ないと、鑑定の前提である「個人内変動の分析」自体が統計的な根拠を失います 。結局、数値は単なる飾りになり、鑑定人は「勘」という主観に逆戻りするしかないのです 。
2.脳科学的鑑定法(BSHAM):鑑定は「脳の指紋」を探す旅へ
これらの古い鑑定法に終止符を打つために生まれたのが、「脳科学的筆跡鑑定法(BSHAM:ビーシャム)」です 。この鑑定は、あなたの筆跡の焦点を「手」から「脳の運動プログラム」へと完全に移し替えました 。
🔑 BSHAMの核心:筆跡は「手続き記憶」
文字を書く行為は、自転車の乗り方やピアノの演奏と同じく、一度覚えたら意識では変えられない「手続き記憶」という無意識の運動プログラムです 。
この無意識の記憶こそが、あなたの筆跡に一貫して現れる「恒常的な癖」(動かせない運動パターン)の源泉なのです 。
🛡️ BSHAMの最大の武器:数学的な「二重の防御線」
| 証明の方法 | BSHAMの論理 | 考え方 |
| 異筆証明 | 恒常性の崩れ:本人なら必ず現れる癖が、「偶然ではありえない確率」で崩れていることを二項分布で証明。 | 偽造者の無意識の習慣が破綻したことを、誰でも計算可能な数値で客観的に示します。 |
| 同筆証明 | 複数の一致が偶然の一致ではないことを積の法則で証明。 | 個々の特徴が最もありふれたものであったとしても、数学的に無視できる極限まで低い確率で偶然性を否定します。 |
まとめ:鑑定を依頼するあなたが知るべきこと
もしあなたが筆跡鑑定を検討しているなら、「鑑定士の経験」や「数値解析」という言葉だけで判断しないでください。
本当に信頼できる鑑定とは、鑑定人の主観を排し、「なぜそれが本人または偽造者によるものなのか」を、誰にでも検証可能な論理と客観的な確率で説明できるものです 。
筆跡鑑定は、すでに「勘」の時代を終え、「脳科学」という新たな科学的証拠の時代へと突入しています。


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