鑑定人紹介

鑑定人紹介

二瓶 淳一トラスト筆跡鑑定研究所 代表 / 脳科学AI筆跡鑑定®(BSHAM®)開発者

トラスト筆跡鑑定研究所 代表 二瓶淳一

トラスト筆跡鑑定研究所 代表 筆跡鑑定人 二瓶 淳一

資格や肩書から自己紹介を始めることは、あえていたしません。筆跡鑑定人にとって本当に問われるのは、どんな看板を持っているかではなく、その判断が検証に耐えるかどうかだからです。ここでは、私がなぜこの仕事にたどり着き、何のために続けているのかを、事実に沿ってお伝えします。

はじまりは、一枚の定期券だった

私が筆跡鑑定人になった原点は、子どもの頃までさかのぼります。もらった使用済みの定期券に自分の名前を書き込み、日付を書き換えて、この偽造で本当に改札を通れるのかを、確かめずにはいられませんでした。偽物が本物として通用するのか、その境目はどこにあるのか――そこに執着してしまう性分でした。

やがて関心は、偽造された切手にも向かいました。偽物の切手と本物を、カタログの写真で一枚一枚見比べ、どこがどう違うのかを突き止める。本物と偽物を分けるものは、どこにあるのか――この問いを突き詰めずにはいられない性分が、私を筆跡鑑定人にしました。

師から受け継いだ「筆跡個性」、そして分かれ道

筆跡鑑定の基礎は、「筆跡個性」――人には、その人固有の書きぶりが繰り返し現れるという概念――を提唱された故・根本寛氏(日本筆跡心理学協会)に学びました。この着眼は、今の私の鑑定の出発点です。

ただ、根本氏は、その筆跡個性を人の深層心理の表れとして捉えていました。私は、ここに進むべき道が残っていると考えました。筆跡個性を心理としてではなく、それを生み出す脳の運動として科学的に基礎づける――。心理は、読む人によって解釈が変わります。しかし運動は、物理として検証できます。ここから先が、独力の歩みでした。

50歳での独立

50歳のとき、私は独立して当研究所を設立しました。どの程度の依頼が見込めるかも分からないまま、後ろ盾もなく踏み出した形でした。権威を隠れ蓑にできない以上、私に残された道は一つでした。誤った鑑定はしない、という一点に懸けることです。現役の筆跡鑑定人よりも、退職後の元・科学捜査研究所の鑑定人よりも、精度の高い鑑定ができる存在になろう――そう決めて、研究を積み重ねてきました。

たどり着いたのが、脳科学だった

従来の筆跡鑑定は、文字の形の似ている・似ていないを指摘するものでした。しかし私は、形態の類似だけでは、筆者が誰かを証明することはできないと考えるに至りました。似せて書けば、形は似るからです。

筆者を証明できるのは、形ではなく、その形を生み出した運動の記憶――脳が定着させた、本人にも意識できない書きぶりの型です。受け継いだ筆跡個性という着眼を、この運動の水準で捉え直す。その方法を、私はおよそ10年かけて研究し、実際の鑑定資料で検証を重ねてきました。それが、現在の脳科学AI筆跡鑑定®(BSHAM®)です。

※方法の詳細は「BSHAM®とは」、実データによる検証は「検証の記録」をご覧ください。

私が許せないのは、検証を経ない鑑定が「有効」として通り、
その結果、鑑定を頼んだ側の人が苦しむことです。

何のために、この仕事を続けているのか

日々鑑定をしていると、これまで依頼してこられた方々を思い出します。財産をすべて失い、裁判費用や鑑定書の費用を借金で賄い、長い裁判のなかで心労が絶えなかった方。判断過程を検証できない鑑定に依拠した鑑定書と判決によって、奈落の底に突き落とされた方――。私は、そうした依頼人を幾人も見てきました。

こうした方々を救えなかった理由の一つは、裁判における筆跡鑑定の信用が低いことにあります。そしてその信用の低さは、検証を経ない鑑定が「有効」として通ってきたことが招いたものです。そのツケを、いちばん立場の弱い、鑑定を頼む側の当事者が払わされている。私には、この構造がどうしても許せません。

だから私は、退けようのない鑑定を、実証で一つずつ積み上げます。筆跡鑑定を軽視されることで人が苦しむ姿を、これ以上見たくない――それが、私がこの仕事を続けている理由のすべてです。

おもな実績

設立
2012年、トラスト筆跡鑑定研究所を設立(独立・独学)
実務
受任2,000件超。全国150カ所以上の法律事務所を訪問し、300名を超える弁護士・依頼者に鑑定の技術解説を行う
鑑定・反論書
法廷提出用の鑑定書・反論書を多数担当。仙台高等裁判所令和3年1月13日判決(判例タイムズ1491号57頁)の事件では、鑑定書・反論書を担当し、一審の判断の基礎となっていた鑑定が覆って逆転勝訴となった
証人出廷
広島高裁・東京地裁・東京地裁立川支部・神戸地裁尼崎支部・埼玉地裁熊谷支部・徳島地裁阿南支部・大津地裁彦根支部・静岡地裁沼津支部、および米国カリフォルニア州の裁判手続(令和7年末まで)
メディア
報道・情報番組等で、筆跡分析の科学的解説を担当(「追跡バスターズ」ほか)
著書
『筆跡鑑定をダメにした知ったかぶりの輩たち』(日本橋出版)

著書『筆跡鑑定をダメにした知ったかぶりの輩たち』(日本橋出版)

検証できない手法に依拠した鑑定書と判決によって、依頼人がどれほど不当な立場に追い込まれてきたか。偽造を状況証拠に置き換えて処理してきた裁判のあり方に対して、実務の現場から警鐘を鳴らした一冊です。

本ページの経歴は、同書「はじめに」に記した事実に基づいています。

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