🔬 鑑定方法:脳科学的筆跡鑑定法(論理と統計学で真実を証明する)

1. 従来の鑑定が「証拠の限界」に直面した理由

従来の筆跡鑑定法は、鑑定人の長年の経験と直感に大きく依存していました。その最大の弱点は、「恒常性(書き癖の一貫性)」の判断が「ほとんど同じ」といった主観的な言葉に終始していたことです。

  • 統計的な欠陥: 鑑定の信頼性を担保するための十分なサンプル数(理論上30個以上)が得られない実務では、鑑定は統計的な裏付けを失い、裁判で「科学的根拠に乏しい」と突き崩されるリスクを常に抱えていました。

当研究所の筆跡鑑定人 二瓶淳一が開発した「脳科学的筆跡鑑定法」は、この主観性と統計的欠陥を、脳科学と確率論によって完全に克服しました。


2. ロジックの核心:恒常性の定量化による曖昧さの排除

2-A. 筆跡は「脳の運動プログラム」である

私たちは文字の形を「手続き記憶(無意識の動作の記憶)」として脳に刻んでいます。あなたの筆跡は、脳が創り出した世界で唯一の運動プログラムです。

当鑑定法は、このプログラムの表れである「恒常性(常に変わらず現れる無意識の癖)」を、以下の数値基準で定義し、鑑定人の主観を排除します。

恒常性の定義要素従来の鑑定(曖昧)脳科学的鑑定(客観的な数値)
定義方法鑑定人の経験、直感統計学(二項分布)による計算
判断の境界線「たぶん癖だろう」という感覚「偶然ではない」と統計的に証明される最低出現率 X%

2-B. 究極の証明力:積の法則による信頼度の保証

鑑定人が指摘する個々の特徴が誤りである確率をすべて掛け合わせる積の法則を適用します。

  • 証明の論理: 20個以上の独立した恒常的な特徴の崩れ(または一致)を指摘する場合、個々の証明力を統合します。
  • 結果: 鑑定結論の総合信頼度は最大99.9999%を超える水準に達することが、数学的に保証されます。この信頼度は、鑑定結果が偶然による間違いである可能性を科学的に完全に排除できることを意味します。

3. 体系化された二段構えの鑑定戦略

当鑑定法は、鑑定資料の真筆性(真筆か偽造か)を極めて正確に判断するため、「崩れ」と「希少性」という二つの強力な証拠を段階的に追及する二段構えの戦略を取ります。

【第1段階】恒常性の崩れ(異筆の証明)

目的:偽造・異筆の可能性を徹底的に排除する

  1. 恒常的な特徴の特定: 対照資料(本人)から、常に安定して出現している恒常的な癖を特定します。
  2. 崩れの指摘: 鑑定資料に、この本人の恒常的な癖が明確に出現していない箇所(崩れ)を指摘します。
  3. 結論: この「恒常性の崩れ」が複数(例:20箇所)確認された場合、それは本人とは異なる運動プログラム(偽造者の筆跡)の動かぬ証拠であり、異筆と判断されます。

【第2段階】希少性の一致(同筆の証明)

目的:真筆であることを科学的に裏付ける

第1段階で崩れが非常に少ない場合、真筆の可能性が高いと判断されますが、これだけでは巧妙な模倣を排除できません。

  1. 希少性の評価: 対照資料と鑑定資料に共通して見られる特徴の中から、筆跡データベースを活用し、一般人には極めて珍しい「希少性の高い癖」を客観的に評価します。
  2. 証明: この模倣が困難な希少性の高い特徴が複数個一致する場合、それは偶然の一致では説明不可能です。
  3. 結論: この一致点を積の法則で証明し、同筆(真筆)であると判断します。

4. 統計的な課題克服:データの限界を論理で補う

A. データベースの限界を克服

(課題) 現在の筆跡データベースが100名分という量的制限があるため、すべての文字の希少性データを網羅できていません

(論理的解決)

  • 保守的な評価: データベースの誤差(±5%程度)を考慮し、希少性を最も不利な確率(偶然の可能性が高い)として計算に組み込む「安全マージン」を取ります。
  • 積の法則による補完: データベースに文字がない場合でも、「恒常性の崩れ」を数多く(20〜40個)指摘し、積の法則で総合信頼度を最大99.9999%まで高めることで、データの限界を論理的に克服します。

B. 変動要因の分離

(課題) 心理状態や体調による変動を完全に数値化できるのかという批判。

(論理的解決)

  • ノイズの分離: 緊張や疲労による変動を「ノイズ(線質の震えなど)」として分離します。
  • コアな恒常性への集中: 脳の「手続き記憶」に刻まれた、筆順、運筆方向、字画構成といった変動しにくいコアな特性のみを分析対象とすることで、一時的な変動の影響を排します。

この「論理とデータによる二重の防御線」こそが、従来の鑑定の常識を打ち破り、当鑑定法が科学的証拠として成立する揺るぎない根拠です。

脳科学的筆跡鑑定法の考案・提唱者である二瓶淳一は,今後も絶え間ない研究を続け,筆跡鑑定の未来を拓くことをお約束します。