「書き癖」と「常同性」の真実:筆跡鑑定の根本的な誤解を解く

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「書き癖」と「常同性」の真実:筆跡鑑定の根本的な誤解を解く

ある鑑定人のウェブサイトに、「筆跡の中に恒常的に現れる『書き方の癖』を『常同性』と言います。専門的には、『書き癖』を『常同性』と呼び…」という記述があります。

しかし、これは事実とは全く異なる「デタラメな記述」であり、筆跡鑑定の基本的な概念を理解していない証拠です。筆跡鑑定のプロを名乗る人物が、このような誤った情報を世に広めることは断じて許されるべきではありません。


「書き癖」と「単なる特徴」を区別する重要性

私は繰り返しお伝えしていますが、筆跡には大きく分けて2種類の「特徴」が存在します。

  1. 「書き癖」:そのように書く傾向のある、恒常的な(常同性のある)特徴。
  2. 「単なる特徴」:書くたびに様々に変化する、一時的な特徴。

当然のことながら、書くたびに変化する「単なる特徴」だけを比較しても、筆者の異同を判断することは不可能です。正確な筆者識別を行うためには、この二つを明確に区別し、筆者識別が可能な「書き癖」を特定することが極めて重要となります。


「書き癖」≠「常同性」:正しい理解とは

つまり、「書き癖」とは、筆者本人が無意識のうちに、そのように書く傾向があるという「恒常性(常同性)」を持ったものです。一方で、書くたびに変わる「単なる特徴」には、このような恒常性はありません。

私たちは、この「書き癖」を特定するために、その特徴に恒常性(常同性)があるかどうかを徹底的に調査します。

したがって、「書き癖=常同性」という認識は誤りです。正しい意味は、「『書き癖』には恒常性(常同性)がある」となります。


誤った情報がもたらす危険性

このような「知ったかぶり」の記述は、単なる間違いに留まらず、社会的な悪影響を及ぼしかねません。Google AIの検索結果にまで、あたかも真実のように誤った情報が伝えられてしまうのは、このような鑑定人が存在しているからです。

誤った情報を信じて鑑定を依頼すれば、取り返しのつかない事態を招きかねません。現在の筆跡鑑定業界は、残念ながら健全とは言えない状況にあります。


筆跡鑑定に関するご不明な点や、正しい鑑定をお求めの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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