筆跡鑑定は、しばしばテレビドラマや小説の題材となり、ベテラン鑑定人の鋭い「勘」や「経験」によって真実が見抜かれる、というイメージが根強くあります。しかし、私はこの業界の透明性を高め、筆跡鑑定の信用を確立したいと心から願っています。
半世紀以上も筆跡鑑定の信頼性が十分に認められてこなかったのは、ひとえにこの業界が、その鑑定方法や判断基準を明確にしてこなかったからだと考えています。
私が立ち向かう業界の「不信の連鎖」
このブログでは、私がこれまでに直面し、向き合ってきた筆跡鑑定業界の現状と、その背景にある問題点について包み隠さずお話ししたいと思います。
- 鑑定人の「実力」が玉石混交であるという不条理 筆跡鑑定には公的な資格制度がないため、鑑定人の実力は様々です。中には、経験則や勘に頼った鑑定を行い、鑑定結果に恣意性が生じることもあります 。これにより、裁判官が「双方から自分に有利な鑑定書しか出てこない」という不信感を抱く原因となっています。
- 「見せかけの科学」が真実を曇らせる 近年、「数値解析」や「多変量解析」を謳う鑑定所も増えました。しかし、それらが示す判断基準に明確な科学的根拠がないにもかかわらず、あたかも客観的であるかのように見せる手法は、「見せかけの科学」に他なりません。この言葉は、他の鑑定法を貶めるためではなく、筆跡鑑定の信頼性を高めたいと真剣に願う私の、業界の不透明な現状に対する強い問題意識から生まれたものです 。このような不透明さが、かえって筆跡鑑定全体への不信感を増幅させているのです。
脳科学的筆跡鑑定法という「真の解決策」
私は、これらの不信を断ち切るために、脳科学的筆跡鑑定法を提唱しています。この手法は、従来の鑑定法や数値解析法を貶めることを目的としているのではなく、それらが持つ限界を根本から解決するための「真の解決策」だと確信しています。
- 脳科学に基づく揺るぎない根拠 筆跡の個性は、脳に深く刻まれた「手続き記憶」という無意識の運動プログラムの痕跡です 。この科学的知見を根拠とすることで、鑑定の土台を強固なものにします。
- 「希少性」を証明する客観的なデータ 鑑定の信頼性を高めるには、筆跡特徴が偶然の一致ではないことを証明する必要があります。私の鑑定法では、筆跡データベースを活用し、特定の書き癖の希少性を客観的な数値で示します 。これにより、鑑定人の主観を排した、より信頼性の高い判断が可能になります。
- 業界全体の底上げへの願い 私は、この手法が認められることで、他の鑑定人の方々も同様の手法を取り入れ、筆跡鑑定業界全体のレベルが向上することを心から願っています。DNA鑑定のように、筆跡鑑定が疑う余地のない証拠として広く認められる社会を築きたい。そのために、皆様からのご意見や疑問には、誠実かつ論理的に向き合い、ブログを通して一つずつお答えしていく所存です。


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