その筆跡、本当に本人? 筆跡鑑定のキモ「恒常性」を徹底解説

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「遺言書に書かれた文字が、本当に本人が書いたものなのか?」

筆跡鑑定は、そんな疑問を科学的に解決する手段です。でも、どうやって鑑定しているのか、ご存知ですか? その鍵を握るのが、「恒常性」という概念です。

今回は、この恒常性とは何か、そして鑑定において文字数がどう影響するのかを、具体例を交えて解説します。


「恒常性」とは何か?

恒常性とは、ある人が文字を書くときに、いつも同じように現れる書き方のクセのこと。

たとえば、「田」の字を書くとき、最後の縦棒がいつも右に傾いていたり、「山」の字の最終画が異常に長かったり。そうした無意識の癖は、他人が真似するのは極めて困難です。

この「無意識の癖」が繰り返し現れることで、その筆跡が偶然によるものではなく、本人固有のものであるという確かな証明になります。


文字数で変わる「証明力」

筆跡鑑定は、「偶然の一致」の可能性をいかに低くするかという戦いです。比較する文字数が少ない場合、その証明力はどう変わるのでしょうか。

2文字のケース:偶然の一致か?

例えば、遺言書に書かれた「」と「」の2文字に、ある特異な共通の特徴が見られたとします。

  • 」の字の第2画と第3画の縦棒が、異常に右に傾いている。
  • 」の字の最後の画も、同様に右に傾いている。

もし、この「右に傾く」という特徴が一般的に20%の確率で現れると仮定すると、2文字すべてに偶然一致する確率は4%です。これは、まだ偶然の可能性を否定しきれないレベルです。この段階では「可能性はあるが、断定するには根拠が弱い」と判断されます。

3文字のケース:確信が深まる

次に、「」「」「」の3文字すべてに同じ特徴が見られたらどうでしょう?

この場合、偶然の一致の確率はわずか0.8%にまで下がります。これは統計的に見て、もはや偶然とは考えにくいレベルです。筆跡鑑定士は、「この特徴は、偶然ではなく、書き手の恒常的な筆跡個性である」と確信を深めます。

4文字のケース:もはや偶然ではない

最後に、「」「」「」に加え、もう1文字(例えば「」)にも同じ特徴が見られたとします。

4文字すべてで同じ特徴が偶然に出現する確率は、わずか0.16%。これは、ほぼ「偶然ではありえない」と言えるレベルです。この強い根拠をもとに、鑑定人は「この筆跡は、特定の人物によるものである」と自信を持って結論づけることができます。


鑑定は総合的な判断

今回紹介した「恒常性」は、鑑定の重要な要素の一つにすぎません。実際の筆跡鑑定では、筆圧、筆順、字画のバランス、文字間のスペースなど、様々な項目を総合的に評価し、最終的な結論を導き出します。

筆跡鑑定は、目に見えない書き方の癖を科学的に分析することで、その筆跡が誰によって書かれたのかを明らかにする、非常に専門的な技術なのです。このような研究や検証によって,脳科学的筆跡鑑定法のロジックが科学的な鑑定法として体系化されつつあります。これからも,脳科学的筆跡鑑定法のロジックについて透明性をもって,詳しく解説させていただきます。

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