🤯 筆跡鑑定のパラダイムシフト:脳の「運動プログラム」が証明する異筆のロジック

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従来の筆跡鑑定と、脳科学の知見を応用した新しい鑑定論理は、単なる精度の優劣の話ではありません。両者が立脚するロジック(論理的根拠)そのものが根本的に異なります。新しいロジックは、従来の鑑定を「補完」するのではなく、鑑定における「真実の証明」の構造を根底から変革する、パラダイムシフトなのです。


従来のロジック:「偽装可能」な形態の類似性

従来の鑑定法が依拠するのは、紙に残された静的な「形態」、すなわち文字の形、筆圧の跡、字の角度といった、意識的に操作可能な痕跡です。このロジックは以下の通りです。

  1. 鑑定対象: 意識的に制御可能な「字形の類似性」。
  2. ロジック: 多くの特徴が類似していればいるほど、「同一人物が書いた」という「一致のロジック」を積み重ねます。

このロジックが持つ最大の限界について、仙台高等裁判所の判決は、その本質を明確に指摘しています。

「筆跡鑑定は一般に…偽造筆跡の場合は、字形は類似するのが当然であり、資料同士が似ているかどうかを比較する類似分析の手法では、書き手の異同の判断を誤る可能性が高く、偽造筆跡に対抗することが困難である…」

これは、従来の鑑定が「偽装可能な世界」でしか機能せず、偽造にはロジックが通用しにくいという本質的な脆弱性を認めたものです。つまり、従来の鑑定ロジックは、新しい鑑定ロジックとは立脚する次元が異なるのです。


新しいロジック:「偽装不可能」な運動プログラムの証明

脳科学の知見を応用した鑑定論理は、従来の「形態」から離れ、筆跡を「脳の運動指令の物理的出力」として捉えます。これは動的筆跡分析(DSA)の理論的基盤をなします。

1. 鑑定対象の転換:形態から動態(運動プログラム)へ

新しいロジックの対象は、文字の形ではなく、「その形を生み出した運動プログラム」そのものです。人間が文字を書く際の「恒常的な個性」とは、特定の文字の書き出しの速度筆圧の変化のタイミングなど、無意識の運動制御メカニズムに深く根ざしたパターンです。

  • 無意識性: この運動パターンは、大脳皮質から小脳で制御されるため、意識的な努力で完全に消去したり、再現したりすることが極めて困難です。

2. ロジックの転換:「恒常性の欠落」による異筆の証明

新しいロジックは、「偽装が不可能な、無意識の運動パターン」に根ざすからこそ、従来の鑑定論理の弱点を克服し、「不一致の強力な根拠」を導き出します。

そして、この「不一致の証明」こそが、従来の鑑定論理を補完するものではない、全く異なるロジックです。

観点従来の鑑定ロジック(類似分析)新しいロジック(運動プログラム解析)
鑑定対象意識で操作可能な字形・形態無意識の運動プログラム(動態データ)
立証の目的一致点の積み重ね(同一筆者の証明)不一致の厳密な証明(異筆の証明)
ロジックの核心形態的な類似性の有無恒常的な無意識のパターンの欠落
偽装への耐性偽造筆跡に対抗が困難運動プログラムは偽装・消去が極めて困難

この新しいロジックに基づき、鑑定理論は「恒常性の欠落」を異筆の強力な証拠とします。

「指摘箇所は10箇所以上の恒常性のある筆跡個性であり、そのすべてが鑑定資料に出現していないことは強力に異筆の根拠となる」

「必ず出るはずの無意識のパターンが一つも出ていない」という事実は、「そのパターンを生み出す運動プログラムを持たない別人による筆跡である」ことを示し、偽装の有無にかかわらず、従来の鑑定では到達できなかった客観的な証拠となるのです。


結論:補完ではない、鑑定理論そのものの飛躍

脳科学の知見を応用した鑑定論理は、従来の鑑定の「形態比較」を助ける補完的な技術ではありません

「偽装が困難な無意識の運動プログラム」を対象とするこの新しいロジックは、従来の鑑定が「類似分析では限界がある」と突きつけられた課題に対し、「不一致の厳密な証明」という、全く新しい次元の解決策を提示しています。

このロジックは、従来の鑑定のロジックの限界を踏み越えて、鑑定の目的手段を根本から変える、真のパラダイムシフトなのです。

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