「筆跡鑑定は、人の感覚に頼るところがあるものの、一定の証拠価値があると判断されています。」多くの鑑定所が、昭和40年の最高裁判決の主旨を引用し、自らの鑑定手法の正当性を主張します。
しかし、この主張は完全に時代錯誤であり、現代の鑑定業界の恐ろしい現実を隠蔽しています。なぜこの古い判例を現代に適用してはならないのか、その論理的な誤りを指摘します。
1. 📜 昭和40年判例が成立した時代背景と「鑑定人」の定義
裁判所が「筆跡鑑定は、鑑定人の経験や直感に依存する部分があることを認めながらも、それが非科学的で不合理なものであるとは断定できない」と述べたのは、今からおよそ60年前の昭和40年の判例です。
- 当時の鑑定人の特異性: この判例が指す「鑑定人の経験やその集積」とは、当時の公的な機関に所属し、黎明期における筆跡鑑定の研究とその実務を任されていた人物を指しています。彼らは、自ら手法を確立し、試行錯誤を重ねていた、いわば「研究者兼鑑定人」でした。
- 経験の質の断絶: 当時の鑑定人の経験や集積は、その時代における学問的な探求と実証に裏打ちされた、極めて貴重なものでした。
2. 📉 現代の鑑定手法と鑑定人の質の変化
現代の多くの鑑定人が用いる「従来の鑑定法」や「数値解析法」は、当時の鑑定人が持っていた「経験の質」とは全く異なります。
- 現代の鑑定人の実態: 現代の鑑定人は、すでに確立された(と見なされている)手法をマニュアル通りに適用し、鑑定書を作成する次元に留まっています。彼らが主張する「経験の集積」は、当時の鑑定人のように、手法の根幹を研究し、検証する質のものではありません。
- 論理的な断絶: 当時の鑑定人が持つ真の研究と実務の集積は、現代の鑑定人には当てはまるものではありません。現代の鑑定人がこの判例を引用することは、その経験や集積の質が当時と同等であるという、論理的に誤った前提に立っていることになります。
3. 💣 結論:従来の鑑定法は証拠能力ゼロ
この昭和40年の判例は、現代の鑑定手法の証拠能力を保証する根拠にはなりえません。 むしろ、時代の変遷と共に、以下の事実が明らかになっています。
- 論理的破綻の証明: 従来の筆跡鑑定法(伝統的鑑定法・数値解析法)は、「30個の壁の崩壊」や「ノイズの混同」といった科学的・論理的な欠陥によって、筆者識別が可能な根拠が全く存在しないことが証明されています 。
- 結論: 時代錯誤の判例を引用し、自らの手法の正当性を主張する行為は、論理的に破綻した鑑定手法を隠蔽する欺瞞に他なりません。従来の筆跡鑑定法は、証拠の力に限界があるどころか、証拠能力はゼロであると断じます。


