はじめに:なぜ今、筆跡鑑定業界の透明性が必要なのか
筆跡鑑定は、裁判の証拠となる鑑定書を作成するなど、依頼者の人生に大きな影響を与える重要な分野です。しかし、日本では公的な資格制度がないため、鑑定人の質や倫理観は個々に委ねられているのが現状です。これは、依頼者が安心して鑑定を依頼できる環境とは言えません。
長年この業界に身を置く者として、私はこの状況に強い危機感を抱いています。特に、業界の発展と信頼性向上を掲げるはずの団体が、その役割を十分に果たしているのか、疑問を感じる点があります。
一般社団法人 日本筆跡鑑定人協会に求める透明性
私は14年前、日本筆跡鑑定人協会が開催する鑑定人養成講座を受講しました。当時の代表である根本寛氏の時代には、何らかの活動が見られましたが、代表が代わって以降、その活動実態が極めて見えにくくなっています。
具体的には、一般社団法人 日本筆跡鑑定人協会に求める透明性の公開情報において、以下のような一般的な協会運営に不可欠な情報が全く明記されていません。
- 会員数: どのくらいの専門家がこの協会に所属し、活動を支持しているのでしょうか? 協会の規模や影響力を測る上で、最も基本的な情報です。
- 活動実績:
- 研究会やセミナーの開催状況: 鑑定技術の向上や知識共有のための具体的な活動は、いつ、どのような内容で行われているのでしょうか?
- 倫理規定や鑑定基準の策定・運用状況: 会員の質の維持や依頼者保護のための具体的な取り組みは何でしょうか?
- 社会貢献活動: 業界全体の発展や一般市民への啓発に向けた活動は行われているのでしょうか?
- 財務状況: 非営利団体としての健全な運営を示すために、収支報告などの公開は行われているのでしょうか?
これらの情報が公開されていないことは、日本筆跡鑑定人協会がその設立趣旨に掲げている「鑑定人の能力向上」「自主的な管理・運営体制の確立」「社会的地位の確立」といった目標に、実際にどの程度取り組んでいるのか、外部からは全く判断できない状況を生んでいます。
透明性の欠如が招く問題
情報公開の欠如は、以下のような深刻な問題を引き起こします。
- 依頼者の不安: 筆跡鑑定を依頼しようとする人々は、どの鑑定士や団体が信頼できるのか判断する材料がありません。
- 業界全体の信頼性低下: 一部の透明性の低い団体が存在することで、真摯に活動している鑑定士や団体の努力も埋もれてしまいかねません。
- 発展の阻害: 相互研鑽や新しい技術開発が活発に行われなければ、業界全体のレベルアップが停滞してしまいます。
業界の未来のために、今できること
筆跡鑑定業界の健全な発展のためには、まず「信頼できる情報公開」が不可欠です。日本筆跡鑑定人協会には、ぜひその先頭に立って情報公開を進めていただきたいと強く願います。
私は、この業界が真に社会に貢献できるものとなるよう、今後も問題提起を続けていきます。この思いに賛同し、業界の透明性向上にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご意見をお聞かせください。


