筆跡鑑定の世界は、単に「似ている」「似ていない」という主観的な判断から、
科学的根拠に基づいた客観的な分析へと進化しました 。私はトラスト筆跡鑑定研究所として、従来の鑑定法が抱えていた曖昧さや問題点を解消し、「筆跡が持つ無意識の運動癖」に焦点を当てることで、偽造筆跡を看破する明確なプロセスを確立しています 。
この記事では、偽造者が必ず犯してしまう「無意識の失敗」を、私の鑑定法がどのように見抜くのか、そのプロセスを分かりやすく解説します 。
ステップ1:本人の”無意識の運動癖”を徹底解剖
鑑定は、まず本人の筆跡である対照資料を詳細に分析することから始まります 。ここで私が特定するのは、書くたびに変化する単なる形状ではなく、本人も気づかないうちに常に現れる「筆跡個性」、つまり無意識の運動のクセです 。これは、脳が指令する手の動きのパターンであり、模倣が極めて困難な筆跡の核となります 。
ステップ2:偽造者が隠せない”相違箇所”を見つけ出す
偽造者は、本物の筆跡を真似ようと意識的に努力します 。しかし、この「真似る」という行為自体が、偽造の”ボロ”を生み出します 。偽造者は目立つ特徴は似せられますが、無意識の運動癖までは模倣できません 。そのため、鑑定資料には「本人の筆跡個性が出現していない相違箇所」
が必ず現れます 。私はまずこの相違箇所を優先的に調査し、鑑定資料が別人による「異筆」であると判断します 。
ステップ3:巧妙な偽造筆跡の”不自然さ”を暴く
もし、偽造者が非常に巧妙で、相違箇所がほとんど見つからない場合でも、私の鑑定法は対応できます 。この時、私は以下の2つの方法で、偽造者が意識的に真似ようとした結果生じる
不自然さを見抜きます 。
- 「微細な筆跡個性」の調査: 拡大して初めて気づくような、模倣が困難で希少性の高い筆跡個性の相違点を詳細に分析します 。補助線などを用いて肉眼では捉えにくい差異を可視化することで、偽造の痕跡を浮き彫りにします 。
- 「恒常性の崩れ」の調査: 本人の筆跡であれば安定して現れるはずの筆跡個性が、偽造筆跡では不自然に乱れることがあります 。これは、偽造者が意識的に真似ようとすることで生じる無意識の運動の乱れであり、特に自筆証書遺言書のように同一の文字が複数ある文書では、偽造の強力な証拠となります 。
これらの客観的な分析を徹底することで、私は鑑定結果の信頼性と精度を飛躍的に向上させ、最終的な結論を導き出します 。


