「あなたの鑑定手法は『脳科学』に基づいていると言いますが、あなたは脳科学の研究者ではありません。したがって、その手法は認められません」。
もしあなたがこのような反論に直面したなら、それは筆跡鑑定の本質と、科学的知見の適用に関する重大な誤解に基づく、極めて的外れな主張です。
このブログ記事では、なぜ鑑定人の経歴を理由に鑑定法を否定することが論理的な誤りであるのかを、明確に解説します。
1. 鑑定の専門性は「経歴」の独占ではない
筆跡鑑定人が、必ずしも大学や研究機関に所属し、脳科学を専門的に研究していなければならないという法律的・科学的要件は存在しません。
重要なのは、鑑定人が「脳科学の知見を正しく理解し、鑑定法に応用しているか」という点であり、特定の肩書きや経歴ではありません。大学や研究所が必ずしも脳科学研究に特化しているとは限らないのと同様に、筆跡鑑定の専門家が、必ずしも脳科学の専門家である必要はないのです。
2. 「専門性」の根拠は「経歴」ではなく「論理」にある
本鑑定法は、鑑定人個人の経歴や肩書に依拠するものではありません。その根幹は、「手続き記憶」という、神経科学分野で既に確立された普遍的な科学的知見にあります。
- 筆跡は「手続き記憶」の可視化: 文字を書くという行為は、脳に深く刻まれた無意識の運動記憶(手続き記憶)によって行われるという事実は、もはや疑う余地のない学術的定説です。本鑑定法は、この普遍的な科学原理を筆跡鑑定に応用するものであり、鑑定人個人の経歴や才能に左右されるものではありません。
- 「論理」と「実証」の提示: 鑑定書の証明力は、鑑定人の経歴ではなく、「論理的整合性」と「実証」によって決まります。本鑑定書は、その論拠を詳細に記述し、筆跡鑑定の核心的な要素である「不自然な線質の混在」や「書き癖の恒常性の崩れ」が、いかにして脳科学的に説明され、偽造の証拠となり得るかを明確に提示しています。
3. 結論
したがって、本鑑定法を鑑定人個人の経歴を理由に否定することは、科学的知見の適用を不当に阻害する行為に他なりません。
鑑定人は、自身の鑑定法が持つ科学的根拠と論理的整合性を、誰にでも分かりやすく説明する責任があります。そして、裁判官は、その鑑定書が示す科学的論理を、鑑定人個人の経歴に惑わされることなく、公正に評価する義務があります。本鑑定法は、鑑定人個人の肩書を越えた、真に科学的で普遍的な鑑定法であることをここに明言いたします。


