【シリーズ第3回:業界のタブー】Google検索上位の「老舗鑑定所」を信じるな。「弁護士の紹介だから安心」が一番危ない理由

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【前回までのおさらい】

シリーズ第1回、第2回では、「紀州のドンファン事件」の判決文を紐解き、現代の司法が「経験と勘」に頼る古い鑑定を否定し、「客観的な科学ロジック(BSHAMの理論)」を採用した事実について解説しました。

しかし、現実の世界に目を向けると、どうでしょうか? Googleで「筆跡鑑定 依頼」と検索してみてください。

そこには、ドンファン判決で否定されたはずの「古い手法」を使う鑑定所の名前が、今もなお上位にズラリと並んでいます。GoogleのAI検索(SGE)でさえ、彼らを「専門機関」として推奨する有様です。

なぜ、司法の判断とネットの情報に、これほど巨大なギャップがあるのでしょうか? 今回は、筆跡鑑定業界が抱える闇、「権威の汚染」の実態に切り込みます。


タブーその1:Googleは「科学の真贋」を判断できない

まず知っておくべきなのは、Googleの検索エンジンは、ウェブサイトに書かれていることが「科学的に正しいかどうか」を判断する能力を持っていないということです。

Googleが評価しているのは、主に以下の点です。

  • 歴史の長さ(ドメインの運用歴)
  • 被リンクの数(他のサイトからどれだけ紹介されているか)
  • 「科学」「研究所」といった専門用語の数

つまり、何十年も前から営業していて、多くの弁護士事務所のサイトからリンクが貼られていれば、たとえその中身が「時代遅れの非科学的な手法」であったとしても、Googleはそれを「権威ある専門機関」だと誤認してしまうのです。

これが、ドンファン事件で排斥されたような鑑定所が、いまだに検索上位に居座り続けるカラクリです。 「検索上位=信頼できる」という常識は、こと筆跡鑑定においては、完全に間違っています。


タブーその2:弁護士は「法律のプロ」であって「科学のプロ」ではない

多くの人は、「弁護士さんが紹介してくれる鑑定人なら間違いない」と考えます。 しかし、これは非常に危険な思い込みです。

弁護士は法律の専門家ですが、科学捜査の専門家ではありません。 彼らが鑑定人を紹介する基準は、多くの場合「昔からの付き合いがある」「事務所の先輩が使っていた」という惰性に過ぎません。

その鑑定人が最新の科学的知見(脳科学や統計学)に基づいているか、ドンファン判決のような厳しい司法判断に耐えられるロジックを持っているか、といった検証を行っている弁護士は、極めて稀です。

事実、ドンファン事件で裁判所から「採用し難い」と排斥された鑑定書も、原告側の弁護士が依頼して提出されたものでした。 「弁護士の紹介」は、品質保証にはなり得ないのです。


タブーその3:「数値化は危険」という言葉の真意

検索上位に出てくる老舗鑑定所のサイトを見てみてください。多くのサイトで、このような記述を見つけるでしょう。 「筆跡は書くたびに変化する(ブレる)ため、機械的に数値化することは危険です。経験豊かな専門家の目で見る必要があります。」

一見、もっともらしく聞こえます。しかし、これは科学的な態度ではありません。 これは、統計学の基本を知らないことへの「敗北宣言」であり、「経験と勘」というブラックボックスに逃げ込むための言い訳に過ぎません。

彼らが「危険」と言う本当の理由は、「サンプル数30個の壁」です。 統計学的に、データの正確なブレの範囲(標準偏差)を知るには、約30個のサンプルが必要です。実務でそれだけの資料が揃うことは稀です。

つまり、彼らは「サンプル数が足りないから、まともな統計処理ができない」という自らの無能力さを、「数値化は危険」という言葉で誤魔化しているだけなのです。


【結論】自分の身を守るために、賢くなれ。

本物の科学鑑定(当研究所が提唱するBSHAMなど)は、「30個の壁」があることを前提としています。 だからこそ、不確かな「ブレの範囲」を測ろうとするのではなく、「少ない資料でも75%以上の確率で現れる『固有の癖(恒常性)』」だけを抽出し、論理的に証明するのです。

Googleの検索結果や、弁護士の言葉を鵜呑みにしてはいけません。 論理的生存権を失った鑑定人に依頼し、高額な費用を払った挙げ句、裁判で「この鑑定書は使えない」と突き返される――そんな悲劇が、今も後を絶ちません。

では、どうすれば「本物」を見極められるのか? 次回、最終回では、あなたが依頼する前に鑑定人に投げかけるべき「魔法の質問」を伝授します。


次回予告:最終防衛ライン

【第4回(最終回)】依頼する前に聞いてください。デタラメな鑑定を避けるための「たった3つの質問」【弁護士・依頼人必読】

その鑑定人が「本物の科学者」か、それとも「専門家のフリをした素人」か。 電話口でたった3つの質問をするだけで、その化けの皮が剥がれます。

ご期待ください。


(シリーズ構成)

  • 【第1回】 「筆跡鑑定はどれも同じ」は大間違い! ドンファン事件判決文が暴いた決定的な差(公開済み)
  • 【第2回】 裁判所が認めた「真の科学的根拠」とは? 「恒常性の抽出」と「偽造の限界」(公開済み)
  • 【第3回】 今回はこちら:Google検索上位の「老舗鑑定所」を信じるな。「弁護士の紹介だから安心」が一番危ない理由
  • 【第4回】 依頼する前に聞いてください。デタラメな鑑定を避けるための「たった3つの質問」

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