序章:鑑定を冒涜する「見解の相違」という名の逃避
筆跡鑑定のプロを名乗りながら、「鑑定に必要な資料は最低3点あれば鑑定できる」と公に主張し、その手法の客観性を謳う鑑定人が存在します。しかし、この主張の論理的破綻を指摘した際、返ってきたのは「見解の相違」という言葉でした。
この言葉こそが、鑑定業界の最も根深い腐敗構造の核心です。筆跡鑑定に「見解の相違」が存在する時点で、それは鑑定ではありません。 それは単なる個人の見解であり、公けに記事を書き、人の人生を左右する鑑定書を出すべきではないのです。
ここでは、筆者識別の基礎理論を研究しているとされる人物が、なぜこのような実務上の主張をするのか、その矛盾が示す欺瞞の構造を論証します。
1. 🔬 研究活動が裏付ける「知っているはずの真実」と論理的な矛盾
ある鑑定機関の研究者たちは、日本応用心理学会や日本法科学技術学会において、筆跡の「個人内変動幅の影響」や「模倣筆跡識別法の検討」に関する高度な研究を発表しています 。この活動は、鑑定の本質的な困難さを深く理解していることを示唆しています。
A. 統計的・論理的真実の認識
- 個人内変動幅の重要性: 研究を通じて、個人内変動幅が筆者識別において極めて重要であることを知っているはずです 。個人内変動を正確に分析するには、統計的に30個以上のサンプルが必要という真実も、当然認識されているべきです。
- 模倣の困難性: 模倣筆跡識別が極めて困難な課題であり、従来の表面的な比較だけでは通用しないことを研究を通じて知っているはずです 。
2. 💣 実務上の主張が示す「論理的な裏切り」
研究活動を通じて統計的・論理的真実を知っているはずの人物が、実務上の主張ではその真実を完全に否定しています。
A. 「3点鑑定」の欺瞞と統計的根拠の放棄
公の場で「鑑定に必要な資料は最低3点あれば鑑定できる」と主張することは、研究で知っているはずの統計的要件(30個の壁)を無視しています。
- 研究の自己否定: 自身が重要性を研究している「個人内変動幅」を正確に分析するために必要な統計的要件を無視し、「3点」という極端なサンプル不足を容認することは、統計的な根拠を自ら放棄しているに等しい行為です。
- 論理的な矛盾: これは、研究を通じて知っている真実と、実務で推進する手法との間に、決定的な乖離があることを示しています。
B. 「ノイズの混同」と専門知識の欠如
「筆跡鑑定は真似したらバレる」という主張も、論理的な防御線が欠如しています。
- ノイズの混同: 数値解析法が数値化する始筆部や転折部の座標が、体調や姿勢による一時的な変動(ノイズ)を捉えている場合、その計測結果は単なる偶然の産物です。研究で知っているはずの個人内変動のリスクを無視しています。
- 結論: ノイズを計測した上で、統計的根拠を失ったデータに閾値を適用しても、鑑定結果は単なる「コンピューターを使った専門家の個人的見解」に過ぎません。
3. 🔥 結論:「科学泥棒」と腐敗構造からの早急な脱却
この「科学者の二重の顔」が示すのは、専門家倫理の逸脱です。
- 専門家倫理の冒涜: 統計的真実を知りながら、実務でその真実を否定する「3点鑑定」を推進する行為は、鑑定人としての専門家倫理を冒涜しています。
- 「科学泥棒」の成立: 学会という権威の場で専門用語を研究しつつ、実務ではその研究が示す統計的要件を無視する行為は、科学の権威だけを盗用し、その論理的義務を果たさない「科学泥棒」と見なすことができます。
この腐敗構造からの脱却は待ったなしです。真に客観的な鑑定基準を確立するため、論理的防御線を持つ鑑定手法のみが法廷で許されるべきです。



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