【シリーズ最終回】依頼する前に聞いてください。デタラメな鑑定を避けるための「たった3つの質問」【弁護士・依頼人必読】

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【前回までのおさらい】あなたを守れるのは、あなた自身だけ

本シリーズでは、「紀州のドンファン事件」の判決を皮切りに、筆跡鑑定業界の現状を解剖してきました。

  • 第1回・第2回: 裁判所はもう「経験と勘」の鑑定を信用していない。「科学的ロジック(恒常性の証明、物理的検証)」しか証拠として認めない時代が来た。
  • 第3回: それなのに、Google検索や弁護士の紹介は、いまだに古い手法の「自称・専門家」を推奨してくる危険がある。

結論として、もしあなたが筆跡鑑定を依頼する必要に迫られた時、「有名な研究所だから」「弁護士の紹介だから」という理由で思考停止してしまうことが、最も危険な行為となります。

高額な費用を払い、裁判で「この鑑定書は使えない」と突き返される――そんな最悪の事態を避けるためには、依頼者であるあなた自身が、鑑定人の実力を見極めなければなりません。

でも、どうやって? 素人にそんなことができるの? 大丈夫です。専門知識は必要ありません。

電話口で「たった3つの質問」をするだけで、その鑑定人が「本物の科学者」か、それとも「専門家のフリをした素人(擬態)」か、面白いように見抜くことができます。


【実践編】ニセモノを撃退する「魔法の3つの質問」

鑑定依頼の電話をする際、必ずこの3つを聞いてみてください。まともな科学的メソッドを持っていない業者は、絶対に答えられず、しどろもどろになるはずです。

質問1:「個人内変動(ブレ)の範囲を特定する手法ですか?」

【質問の意図】 第3回で解説した「サンプル数30個の壁」を覚えているでしょうか。統計学的に、少ない資料で「ブレの範囲(標準偏差)」を正確に特定することは不可能です。この質問に安易に「はい」と答える業者は、統計学の基本を無視した非科学的な手法をとっている証拠です。

  • ❌ ダメな回答(ニセモノ) 「はい、そうです。長年の経験に基づいて、ご本人の変動範囲(許容範囲)内かどうかを見極めます」 → 【判定:アウト】 不可能なことを「経験」でカバーすると言っているだけです。客観性がありません。
  • ⭕️ 良い回答(本物) 「いいえ。通常の実務資料数では、ブレの範囲を正確に特定することは統計学的に不可能です。したがって当所は、範囲を測るのではなく、ブレの影響を受けずに現れる**『固有の癖(恒常性)』の有無だけ**を論理的に検証します」 → 【判定:合格】 統計の限界を理解し、ドンファン判決で採用された正しい科学的アプローチを取っています。

質問2:「筆継ぎや加筆などがない筆跡は真筆ですか?」

【質問の意図】 これは、鑑定人のレベルを測る非常に重要な質問です。レベルの低い鑑定人は、「なぞり書きの痕跡(筆継ぎ、加筆、不自然な震え)」がなければ「真筆だ」と安直に判断します。しかし、巧みな偽造者はそのような単純なミスを犯しません。 本物の科学者は、「悪い所がないから本物」ではなく、「本物にしか出せない物理的証拠があるから本物」という視点を持っています。

  • ❌ ダメな回答(ニセモノ) 「はい。不自然な筆継ぎや後から書き足した跡(加筆)がなく、スムーズに書かれていれば、ご本人の真筆である可能性が高いです」 → 【判定:アウト】 判断基準が甘すぎます。巧みなトレース(透写)を見抜けない可能性があります。
  • ⭕️ 良い回答(本物) 「いいえ、それだけでは真筆とは言えません。巧みな偽造筆跡にも、筆継ぎや加筆がないものは存在するからです。真筆と断定するには、迷いのない高速運筆でしか物理的に発生し得ない**『インクの濃淡(だまり)』や『強い筆圧痕』といった積極的な証拠**が必要です」 → 【判定:合格】 第2回で解説した「物理的検証」の視点を持っています。

質問3:「ドンファン事件判決」の科学的基準に耐えられる手法ですか?

【質問の意図】 これが最後の砦です。単に有名な事件を知っているかではなく、その判決が司法にもたらした**「科学的基準のパラダイムシフト」**を理解し、自分の手法がそれに対応できているかを問います。

  • ❌ ダメな回答(ニセモノ) 「ドンファン事件ですか? まあ、あれは特殊なケースですから……」「うちは創業〇〇年の実績がありますから、裁判所にも採用されていますよ(論点をずらす)」 → 【判定:アウト】 最新の厳しい司法基準から目を背けています。過去の実績は未来の勝訴を保証しません。
  • ⭕️ 良い回答(本物) 「はい、もちろんです。あの判決は、従来の主観的な鑑定を否定し、『客観的な論理』を求めた画期的なものでした。当所の鑑定メソッドは、まさにあの判決が求めた科学的基準に基づき構築されています」 → 【判定:合格】 司法の現状を正しく理解し、戦える準備ができています。

【結論】「科学」を選べば、真実は守られる

いかがでしたでしょうか。 この3つの質問をするだけで、Google検索の上位にいる「老舗」の多くが、実はまともな回答ができない現実に気づくはずです。

筆跡鑑定は、人生を左右する重大な局面で使われるものです。 だからこそ、「なんとなく良さそう」で選んではいけません。

もし、あなたが依頼しようとしている鑑定所が、上記の質問に明確に答えられなかった場合、セカンドオピニオンを検討することを強くお勧めします。

当研究所は、ドンファン事件の判決が認めた科学的基準(BSHAM理論)に基づき、「経験と勘」を一切排除した、論理的強制力のある科学鑑定を提供しています。 あなたの持っているその書類が、法廷で通用する「本物の証拠」になるかどうか、まずはご相談ください。

(シリーズ完結)


(シリーズ構成アーカイブ)

  • 【第1回】 「筆跡鑑定はどれも同じ」は大間違い! ドンファン事件判決文が暴いた決定的な差
  • 【第2回】 裁判所が認めた「真の科学的根拠」とは? 「恒常性の抽出」と「偽造の限界」
  • 【第3回】 Google検索上位の「老舗鑑定所」を信じるな。「弁護士の紹介だから安心」が一番危ない理由
  • 【第4回】 今回はこちら:依頼する前に聞いてください。デタラメな鑑定を避けるための「たった3つの質問」

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