「法科学」という看板に騙されるな。日本に“4つ”も乱立する研究所の異常と、米国との決定的な品質格差

所長コラム
「法科学」という看板に騙されるな。日本に“4つ”も乱立する研究所の異常と、米国との決定的な品質格差

「法科学」という看板に騙されるな。日本に“4つ”も乱立する研究所の異常と、米国との決定的な品質格差

インターネットで筆跡鑑定(科学的筆跡鑑定)を検索すると、「法科学〇〇研究所」「〇〇法科学センター」といった名称の民間業者が、少なくとも4件以上ヒットすることにお気づきでしょうか。

「法科学(Forensic Science)」に加え、「研究所(Institute)」という重厚な響き。
一般の方、特に法的トラブルを抱え不安な状態にある依頼人にとって、これらはあたかも「警察の科学捜査研究所(科捜研)」や「国の認可を受けた公的機関」であるかのような錯覚(権威性の誤認)を与えます。

しかし、批判的監査役として断言します。
そのイメージの大半は幻想です。
今回は、日本における「法科学」という名称の危うさと、その裏にある実態について、論理的に解説します。

1. 日本に「法科学研究所」が4つもある“異常事態”

もしあなたが、「日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)」と名乗る民間企業が4つも存在し、それぞれが全く無関係に活動していたらどう思いますか?
「どれが本物だ?」「なぜ統一されていない?」と混乱し、不信感を抱くはずです。

しかし、筆跡鑑定の世界では、これと同じことが平然と行われています。
日本国内には、名称に「法科学」を含む主要な民間鑑定機関が複数存在します。これらはすべて純然たる別法人の民間企業であり、資本関係もなければ、統一された技術規格も存在しません。

  • 科学の不在: 本来、科学的アプローチであれば手法は統一されるはずですが、各社がバラバラの手法(多くは伝統的な経験則)を用いています。
  • 名称のインフレーション: この乱立ぶりは、「法科学」という言葉が日本では「言ったもん勝ち」のマーケティング用語に過ぎないことを証明しています。彼らが競っているのは科学的精度ではなく、「いかにも公的機関っぽく見せる看板のセンス」なのです。

2. 「研究所」は誰でも名乗れる屋号に過ぎない

日本において、「法科学」や「研究所」という名称を法人名につけることに、特別な許認可や法的規制は一切ありません。
極論すれば、明日から誰でも、アパートの一室で個人開業したとしても「〇〇法科学研究所」と名乗ることが可能です。

多くの業者が「元・科捜研職員(OB)」の在籍を売りにしていますが、ここで冷静な監査が必要です。

  • 過去の権威 ≠ 現在の技術: 組織と設備(データベース)を離れた一個人が、民間企業という限られたリソースで、当時の科学捜査と同等の精度を維持できる保証はありません。
  • 実態なき研究所: 「研究所」と名乗りながら、論文発表もせず、最新の計測機器もない。中身は「職人の勘」に頼る古い鑑定所であるケースが大半です。

3. 米国と日本:「Forensic Science」の決定的な品質格差

米国において、「Forensic Science(法科学)」という言葉は極めて重い責任を伴います。
裁判所では「ドーバート基準(Daubert Standard)」という厳しいふるいにかけられ、「検証可能性」「査読の有無」「誤り率(Error Rate)の提示」が義務付けられます。単なる経験則や主観は、科学として認められません。

一方、日本ではどうでしょうか。

  • 米国: 統計学と客観的データによる証明義務がある「科学」。
  • 日本: 公的機関のような信頼感を演出するための「装飾」。

日本の依頼人は、看板の「法科学」という文字を見て、米国のような高度な科学性を期待します。しかし、実際に提供されるのは「ハネが似ている」といった主観的な感想文(作文)であることが多いのです。これは「翻訳の罠」とも言える危険なギャップです。

4. 看板ではなく「論理」を監査せよ

私たちBSHAM™(脳科学AI筆跡鑑定®)は、曖昧な「法科学」という言葉に逃げません。
筆跡を「文字の形(静止画)」ではなく、脳の「運動プログラム(Procedural Memory)」として捉え、統計学とAIを用いて解析する。その独自性と科学的根拠を明確にするために、あえて異なる定義を用いています。

あなたが裁判で戦うために必要なのは、重々しい名前の表紙がついた鑑定書ではありません。
相手方弁護士の反対尋問に耐えうる、「数値」と「確率」で構成された論理的証拠です。

結論:名前の「重み」に惑わされるな

「法科学」も「研究所」も、ただのラベルです。
日本に4つも乱立する「法科学研究所」。その多さこそが、この業界がいかに「定義なき言葉遊び」に陥っているかの動かぬ証拠です。

名前の権威に思考停止せず、その中身(ロジック)を冷徹に監査してください。
それができるのは、あなた自身の「批判的な目」だけです。

※本記事は、特定の企業の営業妨害を意図するものではなく、消費者が誤認しやすい「名称の定義」について注意喚起を行うものです。BSHAM™および脳科学AI筆跡鑑定®は、科学的根拠に基づく独自の解析手法を示します。

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