筆跡鑑定に「信憑性がない」のではない。信憑性のない「手法」が横行しているだけだ。

所長コラム

「筆跡鑑定なんて、鑑定人によって結果がバラバラで信用できない」
もしあなたがそうお考えなら、それは半分正解で、半分は致命的な誤解です。

一澤帆布の遺言書紛争に代表されるように、裁判の現場で鑑定結果が真っ向から対立することは珍しくありません。しかし、それは筆跡という証拠に欠陥があるからではありません。鑑定の現場で、「筆者を識別するための科学的ロジック」を持たない旧態依然とした手法が、今なお「プロの仕事」として通用してしまっていることに真の原因があります。


1. 信用できないのは「形」をなぞるだけの「伝統芸能」

多くの鑑定人が行っているのは、文字の「形」を見比べるだけの作業です。「ハネが長い」「角度が急だ」といった、いわば間違い探しのような主観的評価に終始しています。

しかし、文字の「形」は時間をかけて練習すれば誰でも模写が可能です。また、体調や筆記具によって多少の変化も生じます。この「表面的な形(静止画)」だけを論拠にするから、鑑定人によって解釈が分かれ、「筆跡鑑定はあてにならない」という神話が生まれるのです。


2. 「脳の運動プログラム」は嘘をつけない

筆跡の本質は、形ではなく「脳の運動痕跡」にあります。
文字を書くという行為は、脳深部の「手続き記憶」に刻まれた運動プログラムの出力です。

  • 筆順(書き順):無意識に手が動く順番は、偽造者が最も書き換えにくい痕跡です。
  • 筆速と加減速:どこで加速し、どこでブレーキをかけるかというリズム。
  • 筆圧の推移:点画のどこで圧力がかかり、どこで抜けるか。

これらは、本人が一生をかけて構築した「脳の癖」であり、偽造者が意識的に模倣することは科学的に不可能です。一澤帆布事件で逆転勝訴を導いたのは、まさにこの「筆順」や「書字習慣」という、脳に刻まれた動的なエビデンスでした。


3. 鑑定人に「論理的ロジック」はあるか?

筆跡鑑定が科学であるためには、以下の3つの「監査基準」をクリアしていなければなりません。

  1. 恣意性の排除:自分たちの主張に都合の良い文字だけを抽出していないか。
  2. 統計的根拠:ラプラスの法則(継承の法則)等に基づき、その特徴が偶然一致する確率を算出しているか。
  3. 再現性:別の人間が同じロジックで解析しても、同じ結論に到達するか。

現在、警察OB等が行っている鑑定の多くは、残念ながらこの基準を満たしていません。彼らが負けるのは、相手が強いからではなく、自身の鑑定に「科学的適格性」がないからです。


結論:あなたが手にするべきは「武器」か、それとも「感想文」か

筆跡鑑定は、正しく運用されれば、偽造や改ざんを白日の下に晒す最強の「武器」になります。しかし、ロジックのない鑑定書は、単なる「個人の感想文」に過ぎず、裁判官を説得する力はありません。

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「筆跡鑑定は信用できない」と諦める前に、その鑑定人がどのような「ロジック」で筆者を識別しているのか、厳しく監査してください。真実は、形ではなく、脳が記憶した運動の軌跡に宿っています。

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