筆跡鑑定を検討されている方の中には、Google検索で上位に出てくる「1万円からの事前調査」や「電話での結果報告」というサービスに魅力を感じている方もいるかもしれません。
「安くて、早くて、究極の調査」 もしそれが本当なら素晴らしいことですが、私たち技術者の視点(BSHAM™)から計算すると、そこには「物理的に成立しない矛盾」が見えてきます。
今回は、業界の健全化と、皆様が「安物買いの銭失い」にならないための注意喚起として、プロの裏側を解説します。
疑問1:「究極」と「事前」という言葉の矛盾
ある業者はキャッチコピーで「究極の事前調査」と謳っています。 しかし、言葉の意味を考えてみてください。
- 事前(Preliminary): 本番前の準備段階。
- 究極(Ultimate): 物事を突き詰めた最終到達点。
「究極の準備運動」が本番の競技ではないように、事前調査はあくまで「入り口」です。 耳障りの良い「究極」という言葉を使って期待値を上げていますが、実際に提供されるのは「簡易的なチェック」に過ぎない可能性があります。
言葉のインパクトに惑わされず、「具体的に何をしてくれるのか?」を確認する必要があります。
疑問2:なぜ「1万円」でできるのか? 原価の秘密
科学的な筆跡鑑定には、本来これだけの手間がかかります。
- 高解像度スキャンと画像処理
- 特徴点の座標抽出(数千箇所)
- 幾何学計算とAIによる論理監査
これらを真面目に行えば、機材費と人件費だけで数万円のコストがかかります。 では、なぜ「1万円」で提供できるのでしょうか?
可能性は一つしかありません。「上記の工程をすべて省いているから」です。 モニター越しに目視で確認し、「似ていますね」と直感で判断するだけなら、原価はほぼゼロです。
しかし、それは「鑑定」ではなく、単なる「感想」ではないでしょうか?
疑問3:なぜ「電話報告」なのか?
最も注意すべきは、結果を「電話でお伝えする」という点です。 私たちプロの鑑定人は、責任の所在を明確にするため、必ず「書面(メール含む)」で根拠を残します。
電話報告には、以下のリスクがあります。
- 証拠が残らない: 後で「言った・言わない」のトラブルになっても確認できない。
- 責任回避: 「あくまで電話での簡易報告ですから」という逃げ道を作られてしまう。
「保証も何もない」と言い切るサービスにお金を払うことは、証拠能力を求める裁判の準備として適切とは言えません。
結論:名前の立派さより「中身の解像度」を
検索順位が高いサイトや、「研究」「センター」といった立派な名前がついている業者が、必ずしも高度な技術を持っているとは限りません。
- 安価な簡易サービス(Phase 0): 目視と電話報告。おみくじ感覚。
- 科学的な鑑定(Phase 1): 脳科学理論とAI監査。証拠能力を重視。
どちらを選ぶかは自由ですが、「1万円には1万円の理由がある」ということだけは、専門家として強くお伝えしておきます。 人生を左右する鑑定です。後悔のない選択をしてください。



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