筆跡鑑定業界の不透明さ:なぜ「信用できない」と言われるのか?

所長コラム

あなたは、大切な契約書や遺言書の筆跡に疑問を抱き、筆跡鑑定を検討したことはありませんか? インターネットで筆跡鑑定所を検索すると、「科学的に判定」「裁判所も鑑定委託」といった言葉が並んでいます。しかし、その一方で、「筆跡鑑定は意味がない」「証拠能力に限界がある」という否定的な情報も目にします。

なぜ、これほどまでに情報が錯綜しているのでしょうか。 私たちは、その最大の原因は、筆跡鑑定業界の「不透明さ」にあると考えています。


過去の事例から見る、筆跡鑑定の信頼性問題

これまでの事例を鑑みると、筆跡鑑定の信頼性が揺らいでいる背景には、以下のような問題があることが見えてきます。

1. 鑑定方法が不明瞭なケース

多くの鑑定所のウェブサイトには、鑑定方法の詳細が記載されていません。「鑑定人の経験と勘」に依存する旧来の手法が今も使われているのでは?という疑念が拭えません。これでは、鑑定結果が客観的で科学的な根拠に基づいているのか、利用者は判断できません。

2. 資格制度の欠如

医師や弁護士のような、公的な資格制度が筆跡鑑定にはありません。そのため、誰が「本物の鑑定人」なのかを見分けることが非常に困難です。技術や知識のレベルが不明なまま、鑑定を依頼しなければならないのが現状です。

3. 曖昧な表現による宣伝

「警察からの相談を受けた」「しっかりとした技術を持つ」といった言葉は、具体的な実績や技術の根拠がなければ、単なる宣伝文句に過ぎません。これらの曖昧な表現が、かえって利用者の不信感を招くことになります。


信頼回復への第一歩:透明性の確保

このような状況では、たとえ真面目に、誠実に鑑定を行っている企業であっても、その信用性を証明することは難しくなります。

だからこそ、私たちは、「鑑定の信頼性と根拠」を明確な形で示すことが、業界全体の信頼性を高めるための第一歩だと考えます。

  • 鑑定プロセスの公開: どのような手順で、どのような科学的分析(筆跡の形状、筆圧、運筆の癖など)を用いて鑑定を行うのかを具体的に説明する。
  • 鑑定人の経歴・実績の明示: 鑑定人の専門分野や、過去の鑑定実績(特に裁判所での経験など)を公開し、専門家としての信頼性を可視化する。

筆跡鑑定は、あなたの人生を左右する可能性のある重要な判断です。だからこそ、鑑定結果だけでなく、鑑定に至るプロセスそのものが、誰の目にも明らかで、納得のいくものであるべきです。

私は、この業界の発展を願い、これからも「正しい情報発信」を続けてまいります

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本記事でも触れた、法廷における筆跡鑑定の証拠価値が著しく低い現実や、科学的根拠のない「でたらめな鑑定」が業界に横行している実態については、拙著『筆跡鑑定をダメにした知ったかぶりの輩たち』にて詳細に告発しています。
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